21世紀のリーダー


✧ 百花繚乱

 

21世紀という時代は、多種多様・百花繚乱で、とても変化の速い時代である。

 

私たちひとりひとりがどう世界を見ているかには、驚くほどの違いがある。

各個人は自分の感じ方こそが現実だと信じている。しかし、現実とは、一般的に考えられいるより、はるかに主観的なものだ。現実は脳によって受動的に記憶されるのではなく、脳によって能動的に構築される。

そうした多様性にいまグローバライゼーションとテクノロジーの進歩が拍車をかけている。

 

変化の速さについていえば、例えば、GAFAと呼ばれる巨大グローバル企業がいる。そのうち、40年前の1980年に既に存在していたのはアップル(1976年設立)だけだ。アマゾンとグーグルは、それぞれ1994年および1998年設立と、人間でいえばまだ20歳代の若者である。フェイスブックに至っては2004設立と今世紀に入ってから生まれたニューカマーでまだ成人にすらなっていない。

 

それがいまや世界市場に君臨する巨大企業なのだ。まさに21世紀の変化の速さは、私たちが10年後の未来を予測することすら困難にしていると言っても過言ではないだろう。そうした多様で変化が加速する時代を、私たちは、また組織はどう生きていったらいいのだろうか? 

そうしたことを私たちに考えさせるとてもいい文章があるので引用させてほしい。

 

✧ さまざま

 

春が来て花が咲いて、初夏が来て若葉が萌えて、野山はまさに華麗な装いである。さまざまの花が咲き、さまざまの草木が萌え、さまざまの鳥が舞う。さまざま、とりどりなればこそのこの華麗さである。この自然の装いである。

花は桜だけ、木は杉だけ、鳥はウグイスだけ。それはそれなりの風情はあろうけれども、この日本の山野に、もしこれだけの種類しかなかったとしたら、とてもこの自然の豊かさは生まれてこなかったであろう。

いろいろの花があってよかった。さまざまの木があってよかった。たくさんの鳥があってよかった。自然の理のありがたさである。人もまたさまざま。さまざまの人があればこそ、ゆたかな働きも生み出されてくる。自分と他人とは、顔もちがえば気性もちがう。好みもちがう。それでよいのである。ちがうことをなげくよりも、そのちがうことのなかに無限の妙味を感じたい。そして、人それぞれに力をつくし、人それぞれに助け合いたい。

いろいろの人があってよかった。さまざまの人があってよかったー

                                    松下電器産業(現パナソニック)の創設者

松下幸之助

 

私たちは、今日の多様性と変化の社会――つまり「さまざま」を嘆くのではなく、さまざまがあってよかった!と、それを楽しみ、喜びたい。そして、松下幸之助の言葉の通り、ちがうことのなかに無限の妙味を感じ、力をつくし、助け合いながら生きていきたいと思う。

 

では、そうした21世紀のリーダーに求められるもっとも重要な能力を一つだけ挙げるとすれば、それは何でしょうか?

私たちは、それはズバリ「好奇心」だと思います。

 

✧ 好奇心

 

好奇心とは、私たちに生得的に備わっている新しい情報を獲得したいという本質的な欲求です。

 

私たちが、21世紀という多様性と変化の時代において、リーダーに最も必要なのは「好奇心」だと信じる主な理由は2つです。

  1. 好奇心は学びと人としての成長と深くかかわっており、私たちの人生を輝かせ価値あるものにできるかどうかの鍵を「好奇心」が握っていること。
  2. ビジネスリーダーが部下を育て、動機づけて結果を出していくうえで、また、チームや組織に対話の輪を広げ、組織全体を活性化し、変化と変革を起こしていくうえで求められるさまざまな能力、それらの基盤になるのがやはり「好奇心」であること。

「何だろう?」「なぜだろう?」と好奇心が働いている状態にあると、ドーパミン作動性の神経調節が起こり、ドーパミンが放出されます。ドーパミンは生きるために必要なやる気を促し、幸福感をアップさせる報酬系ホルモンです。つまり、好奇心に燃えていると(脳の関連部位が活性化すると)、私たちは幸福感を感じるようにできているのです。だから、好奇心を刺激すれば、人はやる気になるし、学習能力や仕事能率のアップも期待できるというわけです。さまざまを楽しみ、喜ぶことができるようになります。

 

したがって、21世紀のリーダーは、自らの好奇心を磨く努力をするとともに、部下や周りをとりまく人々が好奇心を発揮できるようサポートしなければなりません。では、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか?

私たちは、次のようなことが役立つのではないかと考えています。

  1. 五感を使う直接体験の世界を広げる。子供心を取りもどせるような活動をする。
  2. リズミカルな運動をして、大脳辺縁系(海馬や歯状回など)の機能を向上させる。
  3. マインドフル瞑想などで、自身の既存の脳のアルゴリズム(情報処理の仕組み)を客観的に観察するスキルを身につける。
  4. 毎日、規則的に自問し、内省する時間を設ける。
  5. 質問を習慣にして、組織に能動的な学習の機会を増やす。

以上